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- 2019.04.16 Tuesday
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あけまして おめでとうございます。
加工開発委員会の菅です。
お正月休み中、ようやく時間がとれたので今治運営委員会からお借りした「食と農の原点 有機農業から未来へ」を読んでみようと思いました。
この本は、日本有機農業研究会が行った2006年から07年のシンポジウムや寄稿をまとめたものです。そこには、ゆうき生協の専務理事の発表も載せられています。
ご存じの通り、現代の食のほとんどは工業製品です。大きな工場で大量に作られます。今や野菜ですらそうしたところで作られようとしています。でも、人は緑豊かな山を見て、裾野に広がる田畑を見ると「自然っていいなぁ〜」といいます。心の中では自然を求めているはずなのに今の食を取り巻く現状は本当に自然の姿と言えるのでしょうか?
ゆうき生協の活動の中では、「有機農業」は自然に逆らわず、全ての生きるものとの共生であるということや、生産者と消費者のつながり・消費者同士のつながり(組合員)のことを勉強させていただきました。(まだまだ未熟者ですが)
その中で、多くの方が口をそろえて言う言葉があります。
「提携10ヵ条というのがあってね」と。
私は恥ずかしながらそれがどういうものか全く分からず日々を過ごしていたのですが、今回この本を読んでみて初めて、ゆうき生協の基本理念の元となった「提携10ヵ条」がどういうものか知ることができました。
生産者と消費者の提携の方法(提携の10カ条)
■相互扶助の精神
1.生産者と消費者の提携の本質は、物の売り買い関係ではなく、人と人との友好的付き合い関係である。すなわち両者は対等の立場で、互いに相手を理解し、相扶け合う関係である。それは生産者、消費者としての生活の見直しに基づかねばならない。
■計画的な生産
2.生産者は消費者と相談し、その土地で可能な限りは消費者の希望する物を、希望するだけ生産する計画を立てる。
■全量引き取り
3.消費者はその希望に基づいて生産された物は、その全量を引き取り、食生活をできるだけ全面的にこれに依存させる。
■互恵に基づく価格の取決め
4.価格の取決めについては、生産者は生産物の全量が引き取られること、選別や荷造り、包装の労力と経費が節約される等のことを、消費者は新鮮にして安全であり美味な物が得られる等のことを十分に考慮しなければならない。
■相互理解の努力
5.生産者と消費者とが提携を持続発展させるには相互の理解を深め、友情を厚くすることが肝要であり、そのためには双方のメンバーの各自が相接触する機会を多くしなければならない。
■自主的な配送
6.運搬については原則として第三者に依頼することなく、生産者グループまたは消費者グループの手によって消費者グループの拠点まで運ぶことが望ましい。
■会の民主的な運営
7.生産者、消費者ともそのグループ内においては、多数の者が少数のリーダーに依存しすぎることを戒め、できるだけ全員が責任を分担して民主的に運営するように努めなければならない。ただしメンバー個々の家庭事情をよく汲み取り、相互扶助的な配慮をすることが肝要である。
■学習活動の重視
8.生産者および消費者の各グループは、グループ内の学習活動を重視し、単に安全食糧を提供、獲得するためだけのものに終わらしめないことが肝要である。
■適正規模の保持
9.グループの人数が多かったり、地域が広くては以上の各項の実行が困難なので、グループ作りには、地域の広さとメンバー数を適正にとどめて、グループ数を増やし互いに連携するのが、望ましい。
■理想に向かって漸進
10.生産者および消費者ともに、多くの場合、以上のような理想的な条件で発足することは困難であるので、現状は不十分な状態であっても、見込みある相手を選び発足後逐次相ともに前進向上するよう努力し続けることが肝要である。
(1978年11月25日、第4回全国有機農業大会で発表。ただし項見出しは後日追加)
曖昧なようでいて、芯(真)のある奥深い10ヵ条だと感動しました。
このように、資本主義的な考え方とは一線を画す高度な理論が40年以上も前に確立していたことに驚かされます。それと同時に、現代の若者がいかに表面的な印象にとらわれているかがよくわかりました。巷には響きの良い外来語が飛び回っていますが、<本当に>それらを生き方として取り入れることは、理想を共有する仲間や、環境、経済的な継続性の面で非常に多くの困難が予想されます。それらの問題を、仲間との話し合いにより解決し、時代に流されず信念を持って運営されている「ゆうき生協」を今はとても誇らしく思います。
みなさんも、是非、ご一読ください。
加工開発委員会 菅